こんにちは。
株式会社ナチュラル代表の國武麻美です。
今日は、サロン業界に対して、ずっと感じていることを書いてみようと思います。
美容室、エステ、ネイル、マツエク、マッサージ、リラクゼーション。
私たちの業界は、人の技術によって成り立っている仕事です。
大きな仕入れを必要としないサービスも多く、技術を身につければ、比較的少ない資金で独立できる仕事でもあります。
その一方で、離職や独立による人の入れ替わりが多い業界だと感じています。
もちろん、独立することも、転職することも、一つの選択です。
でも、私は時々思うんです。
サロンを辞めた先に、本当に自分が求めている成長や成功はあるのだろうか。
サロンを転々とすることで、何が得られるのだろうか。
そんなことを、改めて考えてみたいと思います。
2年、3年経つと、辞めたくなる?
仕事を始めたばかりの頃は、何もかもが新鮮です。
技術を覚える。
接客を覚える。
お客様に入れるようになる。
指名をいただけるようになる。
売上が上がるようになる。
一つひとつ、できることが増えていきます。
でも、2年、3年と経つ頃には、仕事にも環境にも慣れてきます。
毎日の施術が当たり前になり、いつものお客様が来てくださり、仕事の流れも分かるようになる。
すると、いつの間にか、
「もうできるようになった。」
「ここで学ぶことはない。」
「そろそろ違うところに行こうかな。」
そんな気持ちになることもあるのではないでしょうか。
でも、私は思うんです。
それって、とんだ勘違いなのかもしれません。
慣れたことと、極めたことは、まったく違います。
慣れてからが、本当の技術の始まり
技術を覚えて、お客様に施術ができるようになる。
これは、ゴールではなくスタートです。
同じ技術でも、1年目と5年目、10年目では、見えているものが違います。
お客様の体の状態を読み取る力。
圧のかけ方。
手の使い方。
施術のリズム。
お客様の小さな変化に気づく力。
言葉の選び方や、安心感を与える接客。
同じことを繰り返しているようで、その中には、まだまだ磨けることがたくさんあります。
できるようになった技術を、何年も何年もかけて磨き続ける。
その積み重ねによって、初めて生まれる深みがあるのだと思います。
新しい技術を次々に覚えることだけが、成長ではありません。
一つの技術を、どこまでも深く磨いていくこと。
私は、そこに技術職としての本当の面白さがあると思っています。
教えてもらえることは、当たり前ではない
そして、もう一つ大切にしてほしいことがあります。
それは、最初に技術を教えてもらったことへの感謝です。
今、当たり前のようにできている施術。
当たり前のように使っている接客の言葉。
当たり前のように行っているカウンセリング。
その一つひとつを、最初から自分でできたわけではありません。
誰かが教えてくれたはずです。
何度も練習に付き合ってくれた人がいる。
間違いを指摘してくれた人がいる。
できるようになるまで、見守ってくれた人がいる。
そして、その技術を教えてくれた先生自身も、何年も何年もかけて技術を磨いてきたはずです。
教えることは、決して簡単なことではありません。
技術ができることと、人に教えられることは、また別の能力です。
相手に伝わるように考え、何度も繰り返し、できるようになるまで向き合う。
そこには、たくさんの時間と労力、そして想いがあります。
その技術には、誰かが積み重ねてきた年月がある
私は、どのサロンにも、どのスクールにも、それぞれが大切にしてきた技術やサービスがあると思っています。
何年もかけて研究してきたこと。
お客様と向き合う中で改善してきたこと。
失敗を繰り返しながら、ようやく形になったこと。
大切に守り続けてきた考え方。
そうしたものを、次の人へと教えている。
きっと多くの先生たちは、
「この人が上手になりますように。」
「お客様から喜ばれる人になりますように。」
「長く活躍できる人になりますように。」
そんな願いを持って教えているのではないでしょうか。
だからこそ、教えてもらった技術を、どうか大切にしてほしい。
慣れたからといって、軽く扱わないでほしい。
今の自分があるのは、過去に誰かが時間を使って教えてくれたから。
技術を大切にするということは、その技術を受け継いできた人たちの想いを大切にすることでもあると思います。
学んだ環境にも、感謝してほしい
仕事に慣れることができた。
お客様に入れるようになった。
指名がつくようになった。
売上が安定するようになった。
それは、本人の努力があったからこそです。
でも同時に、そこまで成長できる環境があったことも、忘れたくありません。
働く場所があった。
教えてくれる人がいた。
お客様が来てくださった。
一緒に働く仲間がいた。
練習する機会があった。
失敗しても、また挑戦できる場所があった。
当たり前になっているものほど、実は有り難いものなのかもしれません。
もちろん、環境を変えた方が良い場合もあります。
心身を壊してまで、一つの場所に居続ける必要はありません。
でも、ただ「慣れたから」「飽きたから」という理由で、これまで積み重ねてきたものを手放してしまうのは、少しもったいないなぁと思います。
サロン同士で戦いたくない
そして、これはサロンを経営されている皆様にもお伝えしたいことです。
私は、スタッフの取り合いをしたいわけではありません。
サロン同士で競い合い、誰かを奪い合うような業界にしたいわけでもありません。
できることなら、戦いたくないんですよね。
もちろん、良いサービスをつくるための切磋琢磨は素晴らしいことです。
でも、同じ業界で働く者同士、本当はもっと協力できることがあるのではないでしょうか。
今は、本当にたくさんのサロンがあります。
個人サロンも、マンションサロンも、専門サロンも。
選択肢が増えること自体は、とても良いことだと思います。
でも、あまりにも多すぎて、お客様は本当に選べているのかなぁとも思うんです。
私自身、何かのお店を探していて、選択肢が多すぎると、どこが良いのか分からなくなり、結局行くこと自体をやめてしまうことがあります。笑
サロンも、随分と増えました。
だからこそ、これからは数を増やすことだけではなく、一つひとつのサロンが、長くお客様から信頼される場所になることが大切なのではないでしょうか。
学んだお店で、5年働くことを当たり前にしたい
私は、この業界の人材定着率をもっと高めていきたいと思っています。
一つのサロンで技術を学び、経験を積み、長くお客様に向き合う。
そして、成長したら、次の人へ技術を伝えていく。
そんな文化を、もっと広げていきたい。
学んだお店で、まずは5年働く。
それが自然な選択肢になる業界にしたいんです。
もちろん、5年という数字がすべてではありません。
人によって事情も違いますし、進む道も違います。
でも、技術を学び、慣れ、そこからさらに深めていく。
その時間を、もっと大切にしてほしいと思っています。
1年目には見えなかったことが、3年目に見える。
3年目には分からなかったことが、5年目に分かる。
そして5年、10年と続けることで、技術だけではない、本当の信頼が積み重なっていく。
お客様にとっても、ずっと同じセラピストがいてくれることは、大きな安心につながると思います。
サロン経営者の皆様、一緒に業界を良くしていきませんか?
看板を掲げて、サロンを経営されている皆様。
この業界の人材定着率を、一緒に高めていきませんか?
スタッフが辞めないように縛るのではなく、長く働きたいと思える環境をつくる。
技術を磨き続けられる。
頑張った分だけ、収入やキャリアにつながる。
仲間と成長できる。
経験を積んだ人が、次の世代を育てられる。
そんなサロンが増えれば、業界全体がもっと豊かになると思います。
そして、働くセラピストの皆様にも。
今いる環境で、まだ学べることはないでしょうか。
教えてもらった技術を、もっと深く磨くことはできないでしょうか。
自分を育ててくれた先生や仲間に、感謝を伝えられているでしょうか。
新しい場所へ行くことだけが、成長ではありません。
今いる場所で、昨日の自分を超え続けることも、立派な成長です。
技術を大切に。ご縁を大切に。
教えてもらった技術を、大切にする。
教えてくれた恩師に、心から感謝する。
自分を育ててくれた環境に、感謝する。
そして、また一つずつ、積み重ねていく。
私は、そんなセラピストがもっともっと増えてほしいと思っています。
技術は、一度覚えて終わりではありません。
磨けば磨くほど、深くなる。
続ければ続けるほど、見えるものが変わる。
そして、積み重ねてきたものが、いつか誰かの人生を支える力になる。
技術を教わる人から、技術を受け継ぐ人へ。
そして、次の誰かへ伝えていく人へ。
そんな素敵な循環が、サロン業界全体に広がっていくことを願っています。
奪い合う業界ではなく、育て合う業界へ。
辞めることが当たり前の業界ではなく、長く続けることが誇りになる業界へ。
私もNATURALを通して、その文化をつくっていきたいと思います。
今日は、そんなコラムでした。